Q1. なぜ妊娠中に歯科を受診する必要があるのですか?
Q2. 妊娠する前に歯医者に行ったので、妊娠中は行かなくてもいいですか?

A. [1]妊婦さん自身のむし歯や歯周病の重症化予防、[2]生まれてくる子どものむし歯菌
伝播予防、の観点から妊娠中の歯科受診は大変重要です。

[1] 妊娠すると女性ホルモンが増加します。それに伴い歯周病菌も増殖しやすくなるため、歯周組織に炎症反応が起こりやすくなります。また、唾液の分泌量・質が変化するため口の中の環境が変化し、食習慣や嗜好性の変化、つわりによる歯磨き困難によって,通常よりもむし歯や歯周病にかかりやすくなります。歯周病は早産、低体重児出産、妊娠高血圧症候群などのリスクを高めるという報告もあります。産後しばらくは外出が容易ではないので,早めの健診や治療が大切です。

[2] 生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には,むし歯や歯周病の原因菌は存在しません。
むし歯も歯周病も、原因菌が口の中に感染することから発病のプロセスが始まります。
特にむし歯菌については,その感染対策法を含めて多くのことが明らかになりました。基本的には家族内感染ですが,ご家族の中で子どもと接する機会に最も恵まれている「お母さん」が感染源になる確率が高いようです。しかし、お母さんが妊娠中から歯科保健指導や予防処置を受けることによって、むし歯菌の母子伝播を防止したり伝播時期を遅らせたりすることが可能となり、その結果、子どものむし歯予防の効果が期待できます。

Q3. 歯が痛いとか、歯茎から出血していることはないのですが、その場合は歯科を受診しなくてもいいですか?

A. たとえ症状が無くても、歯科受診をおすすめいたします。

・痛みが無いからと言って、むし歯や歯周病にかかっていないとは限らないです。静かに忍び寄り、着々と進行する病気です。妊娠期はむし歯や歯周病にかかりやすい時期なので、セルフケアだけではコントロールが困難な場合が多いのです。歯科のプロフェッショナルと二人三脚で取り組むことにより、効果的にお口の健康を維持することができます。歯科医院には「むし歯や歯周病にかかってから治療のために受診する」よりも、予防のために、重症化させないために受診してください